長期にわたって焦げ付いた債権を、「いまさら無理だろう」「仕方がない」と諦めている社長は少なくありません。
その一方で、回収したい気持ちはあっても、いまさらどう手を打ったらよいのか分からないと言うのが現状ではないでしょうか。
そこで、長期化してしまった債権を回収すると言うことについて簡単にご紹介します。
①〘まずは、貸倒の生じる理由?〙
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債権の回収遅れが発生する理由としては、値引きや返品による処理の遅れ、製品のクレームによる支払遅延、取引先の資金繰りの悪化などがあると思います。なかには、この不況期を逆手にとってはじめから支払うつもりのない悪質な業者も存在するようです。
しかし、どの場合にも共通して言えることは、債権は長期化すればするほど回収が困難になるということです。
それは、業績の良い相手先がたまたま資金難に陥った場合にはともかくとして、資金繰りの悪い会社は、時間が経てば経つほど悪くなります。
また、その未回収債権が会社内部の人件費からなる場合にはまだしも、仕入や外注費が発生しているような場合には、先行して支払先への代金支払いがされておりますので、回収が遅れれば会社の資金繰りは悪化し、経営を揺るがすことになりかねません。
ちなみにそのまま放って置きますと、売掛金の消滅時効は、弁済期の翌日から起算して2年となります。
遅れた債権の回収方法は基本的に通常の債権と変わりませんが、最後まで諦めないと言う強い信念と粘り強い行動力が必要になるのではないでしょうか。絶対に回収すると言う気持ちが大事です。そして、早ければ早いほど回収率が高くなります。
②〘こちらから支払計画をたてて相手に渡す!〙
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まず、自社で管理している売掛金台帳などから未回収分のリストを作成します。そのリストには未回収分の取引先名、金額、遅れている期間、遅れている原因記入します。合わせて、相手の支払能力なども出来るだけ調査し、支払いが可能な裏付けを確認しておきます。
そして、それらのリストをもとにその債権を誰が、いつまでに、どのように回収するのかなどを決めます。支払いづらくなった債権を支払いやすくこちら側から提案してあげるのです。その際のポイントは今月末ではなく、例えば7月13日や7月27日などと中途半端な日にするのです。なぜなら、月末には支払が重なるし、印象も弱いのです。
ですから、いつまでには中途半端な日にしてください。
③〘相手の会社に請求書を持参し催促する〙
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まずはアナログ的ですが、先方の会社に直接出向くのが効果的ではないでしょうか。納品書、請求書などの証拠書類を用意して、相手の社長と直接話合います。従業員と話してもトップが支払い決済をしますから、ムダになるだけだと思います。
そして、話合いは相手の社長のペースに乗らず、その場で全額支払ってもらえない場合や分割払いの場合には、口での約束でなく必ず書面を作成し支払いを約束させて下さい。
そうすることにより、相手の会社との債権残高確認が時効の中断の証拠となります。また、時効にかかっている債権でも、取引先が「少し待って欲しい」「○○円くらいなら支払える」といった場合、債権の時効の利益を放棄したことになりますので、その場で書面にしてもらいましょう。結局は法律的に時効だとなっても支払ってくれるのであれば問題などは出てきません。
もっと確実にしておきたい場合は、これらの文書を公正証書で作成しておけば、万一相手の社長が支払わない場合は、その会社の所有資産に強制執行をかけることか出来るのでご検討下さい。
最悪の場合には、その会社の商品を購入し、遅れている債権と相殺することや、その会社の得意先への売掛金等の債権を譲渡してもらう方法でを回収するなど様々な方法を検討すべきだと思います(その債権を額面では譲ってくれないと思いますが…)。
④〘電話・FAXにより催促する〙
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そして、上記で約束した期日までに支払われなかった場合に、電話・FAXなどで催促をします。
その会社が支払いを忘れていることもありますので、早急に一報を入れましょう。「あそこは、うるさい!」と言われるぐらいでなければ、ダメです。商売は代金を回収してはじめて成立するからです。
⑤〘普通郵便により支払催促状を出す〙
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そして、この段階では内容証明ではなく、内容は柔らかな表現を使い、「弁済期が到来した売掛金○×△円を支払って欲しいのですが…」という文面で作成し、この段階では法律的な言い回しはできるだけ避けます。支払う気持ちをなくしてしまったらいけません。
⑥〘担当した業務についての停止は出来ないか!〙
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相手に納めた業務の一部を、未回収であることを理由に一時STOPさせることは出来ないか?これはどんなことかと申しますと、納めた製品や部品を回収させてもらうと言うことになります。
なんらかの形で相手に対して、あそこの支払いはしないとまずい!と言う印象を与えることが重要だと思います。
⑦〘ここで、次回の内容証明をちらつかせます!〙
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この辺からは、相手との取引をやめる覚悟での催促となると思ってください。上記でも未回収であった場合にはもう一度、「催告書」を出します。その内容は、今回で支払のない場合には、法的手続きを辞さない旨を記載し、その社長にプレッシャーをかけます。
⑧〘内容証明郵便により厳しい支払督促をする〙
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さて、内容証明郵便となります。内容証明郵便とは、どんな内容の文書を、いつ、誰が、誰に出したかを郵便局が証明してくれるものです。内容証明そのものに法的拘束力はないのですが、郵便局が証明してくれることから、相手に与える心理的効果が期待出来ると思います。
⑨〘最後に〙
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やはり、遅延債権を回収する場合には、最後まで諦めない!と言う強い信念と粘り強い行動力が必要です。絶対に回収すると言う気迫が相手に伝わるような対応が大事です。
お金ではなく社長ご自身がその業務に携わった時間や労力の回収です。それはプライドを回収するといっても過言ではありません。ぜひ、強い信念で債権回収をお願いします。
それだけの気迫があれば、相手だって、「このぐらいの債権で、あそこまで真剣じゃ、払った方が得策」と言う気持ちになるのでは。
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